年間を通してFXで一定の利益が出た場合は、税金を支払わなければいけません。めんどくさいと思うかもしれませんが、納税の義務がありますのでFXに限らず、「その他投資」「仕事」「ギャンブル」等あらゆる収益(宝くじ等除く)で一定の条件を超えた場合納税しなければいけません。
2019年1月1日~2019年12月31日までに得たFX利益の確定申告期間は、コロナウィルスの影響により2020年4月16日(木)以降も可能になりました。
※確定申告と納税期限が延長されました。(国税庁発表)
納税をしないとペナルティとして、追加で税金を払わなければいけない可能性があるので、しっかりと覚えておきましょう。
■目次
FXの税金
FXで得た所得は「雑所得」に分類されます。つまり、FXで得た利益については、一定の条件になった場合、確定申告で納税する義務があります。
課税方法は、所得の種類に関係なく合算して課税される「総合所得」と、ほかの所得とは分けて課税される「分離課税」に分かれていますが、FXの課税方法は、「分離課税」の「申告分離課税」が適用されます。
会社員の給与は、ご存知の通りそこに課された税金は会社側が対応し源泉徴収されますが、FXの利益(雑所得)については、自分で確定申告を行って税金を納める必要があります。
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税金はいくらから?
FXの利益で確定申告をして税金を納めなければいけないのは、いくらからなのでしょうか?
確定申告をして税金を納めるには、主たる収入の状況等によって変わってきます。以下にまとめましたので、自分がどこに当てはまるか確認してみましょう。
1.会社員の場合
・給与所得が2000万円以下で、利益ー経費=20万円を超える場合は確定申告が必要です。
※FXの利益は雑所得です。FXを含む雑所得が20万円以上の場合も確定申告が必要です。
※給与所得が2000万円以上の場合はFXをやっていなくても確定申告が必要です。
FXなど副業収入が会社にバレたくない場合は、確定申告の際に住民税の支払いを「自分で納付(普通徴収)」にすると会社にはバレません。
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2.年金生活者の場合
公的年金等の収入が400万以下で、利益ー経費=20万円を超える場合は確定申告が必要です。
※FXの利益は雑所得です。FXを含む雑所得が20万円以上の場合も確定申告が必要です。
※公的年金等の収入が400万以上の場合はFXをやっていなくても確定申告が必要です。
3.主婦や学生など被扶養者の場合(パート・アルバイト等していない場合)
利益ー経費=38万円を超えた場合は確定申告が必要です。
※FXの利益は雑所得です。FXを含む所得が38万円以上の場合も確定申告が必要です。
4.主婦や学生など被扶養者の場合(パート・アルバイト等している場合)
主婦の場合
例)
年間給与65万の場合は、FXの利益(雑所得)38万円を超えた場合に確定申告が必要です。
※給与所得控除額として65万円の控除があるため、給与所得がゼロの扱いになります。
年間給与103万以内の場合は、FXの利益ー経費=20万円を超えなければ確定申告は必要ありません。
学生の場合
年間給与65万の場合は、FXの利益(雑所得)38万円を超えた場合に確定申告が必要です。
給与所得控除額として65万円の控除があるため、給与所得がゼロの扱いになります。更に、学生の場合は勤労学生控除として27万円の控除が受けられます。
年間給与130万以内の場合は、FXの利益ー経費=20万円を超えなければ確定申告は必要ありません。
5.自営業・フリーランスの場合
すべての所得-経費が38万円を超えた場合に確定申告が必要です。
ただし、FXを専業でやっている場合は、雑収入ではなく事業収入とみなされる場合があるので所轄の税務署に確認してください。
FX税金の計算方法
FXについてはその利益額に関わらず一律で20%(所得税15%+住民税5%)が課されます。
ただし、2013~2037年は、「東日本大震災からの復興の為の施策を実施する為に必要な財源の確保に関する特別措置法」により復興特別所得税が課されるため、所得税15%に対して102.1%と住民税5%を足した、合計20.315%となります。
つまり、FX税金の計算方法は下記のようになります。
FX年間利益(収益-経費)×20.315%(税率)=FX税金
では、実際にFXで利益が出た時にどれくらいの税金となるのか早見表を参考にしてください。
FX年間所得
|
税率
|
税金
|
---|---|---|
¥500,000
|
20.315%
|
¥101,575
|
¥1,000,000
|
20.315%
|
¥203,150
|
¥1,500,000
|
20.315%
|
¥304,725
|
¥2,000,000
|
20.315%
|
¥406,300
|
¥2,500,000
|
20.315%
|
¥507,875
|
¥3,000,000
|
20.315%
|
¥609,450
|
かしこいFXの税金対策
1.FXの繰越損失控除
FXの確定申告は利益があがらず損失しかなかった場合でも確定申告を行うことでメリットが生じる場合があります。
それは「繰越控除制度」という制度です。
確定申告で損失を申告しておくと、3年間まで損失を繰り越し、利益があった年にその損失分を控除することができるのです。
つまり、
年間所得 × 20.315% = 納税額
となるところが、損失の繰り越しがあれば
(年間所得 - 繰越損失額) × 20.315 =納税額
となり、節税効果があるのです。
年間所得 × 20.315% = 納税額
となるところが、損失の繰り越しがあれば
(年間所得 - 繰越損失額) × 20.315 =納税額
となり、節税効果があるのです。
ただし、損失を控除した利益額が38万円または20万円といった確定申告の基準額を下回っていたとしても、繰越によって利益が減った旨を報告する必要がありますので、確定申告は行う必要があります。
申告を忘れるとそこで繰越控除の適用がなくなってしまうため、気を付けましょう。
2.経費の計上
税金が課されるのは所得から経費を差し引いた金額です。
つまり、経費が多ければ多いほど課税対象額は少なくなり、納税額も減らすことができます。
では、FXにかかる経費にはどのようなものがあるのでしょうか。
取引手数料や振込手数料といった、直接取引にかかった費用はもちろんですが、関連書籍の購入代金や通信費、家賃なども経費として認められます。ただし、通信費や家賃など、FX取引のためだけに生じている費用でないものは、取引に使用している割合分のみが経費となります。
3.複数のFX口座、他の金融商品と損益をまとめる
FX取引を複数の業者で口座を開設して売買している場合は、すべての口座の利益・損失をまとめて申告することができます。また、他の金融取引をしている場合、同様に損益をまとめることが出来るものがあります。
FXの利益は「雑所得」の中でも「先物取引に係る雑所得等」として扱われます。「分離課税」とはいえ、同じ先物関連の雑所得であれば、まとめて申告することができるのです。一部損失がある取引があれば、その分所得額が減りますので、節税につながります。
抑えておきたいポイント
|
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・年間を通して損失が出た場合もしっかりと確定申告をしましょう。 ・経費はFXに関連することがしっかりわかるような領収書をもいらいましょう。 |
納税はいつまで?
次にいつまでに納税をしなければいけないのか確認しましょう。
2019年1月1日~2019年12月31日までに得たFX利益の確定申告期間はコロナウィルスの影響から4月16日(木)以降も可能となりました。
納税をするタイミングなど詳細については「申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延⻑手続に関するFAQ」(国税庁発表)を参考にしてください。
対象の期間に納税できなかった場合にも納税は受付てもらえますが、延滞税や無申告加算税などが課されるため、注意が必要です。
所得税を納付する方法
納税金額が確定したら、いよいよ納税です。納税方法は大きく分けて5つの納税方法があります。
簡単に概要だけご紹介します。詳しくは、国税庁ホームページ内Q35 税金の納付はどのようにすればよいのですかを参照ください。
①指定した金融機関の預貯金口座から振替納税する。
※納税の期限までに口座振替の依頼書を提出する必要があります。
②インターネット(e-Tax)を利用して電子納税する。
※事前に開始届出書の提出が必要です。
③クレジットカードで納税する。
※インターネットから「国税クレジットカードお支払いサイト」で納付できます。
④コンビニエンスストアで納税する。
※納付できる金額は30万円までとなります。
※国税庁HPからコンビニ納付用QRコードを作成する必要があります。
⑤現金で納税する。
※金融機関または、所轄税務署で納付可能です。
※納付書は税務署若しくは所轄税務署管内の金融機関にある納付書を使用すること。
税金を払わないとどうなる?
もし、納税対象でありながらこれらの手続きを忘れ、納税が遅れた場合にはどのような罰則があるのでしょうか?税金の滞納や申告をしなかった場合には、以下の4種類の追徴課税が罰則として課されますので注意が必要です!
1.無申告加算税
本来の確定申告期間を過ぎてしまった場合の罰則です。
無申告加算税は、原則50万円までは15%、50万円を超える場合は20%を乗じた金額を、本来払うべき納税額の他に払う必要があります。尚、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後納付をした場合には無申告課税が5%に軽減されますので、申告を忘れた方はすぐに申告しましょう。
※申告が遅れても以下ケースをすべて満たすと無申告加算税が課されません。
1 その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
2 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
出典:国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
2.過少申告加算税
本来支払うべき納付額よりも少なく申告した場合、当初申告した税額との差額に対して課されます。
過少申告加算税は、原則
増差税額(本来納付すべき納税額-納税額)×10% となります。
ただし、当初申告した納付すべき税額と、50万円のいずれか多い金額を超えた場合は15%加算課税となります。
3.重加算税
わざと利益を申告しなかったり、利益を少なく申告するなど、不当な税金逃れをしているとみなされた場合に課されます。
重加算税は35%の場合と40%の場合があります。期限後申告や無申告の場合には40%の重加算税となります。
4.延滞税
申告は期限内に行ったものの、納税が期限内にされなかった場合に課されます。
延滞税率は年度と、納付が納期限の翌日から2月を経過するかしないかで変わります。
納期限の翌日から2月を経過しない場合 | 納期限の翌日から2月を経過した場合 | |
---|---|---|
平成30年1月1日から令和元年12月31日まで | 2.6% | 8.9% |
平成29年1月1日から平成29年12月31日まで | 2.7% | 9.0% |
延滞税は、原則、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。
抑えておきたいポイント |
---|
「確定申告」を無視したり、忘れたりすると容赦なく追徴課税となります。追徴課税の対象とならないためにも、期日厳守と知識を身につけましょう。 尚、税制は変わる場合があります。最新の情報は国税庁ホームページを確認ください。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf |