日銀短観や物価も上下を考えるヒントに!
日本に住む私たちには、日本円がもっとも身近でしょう。ですからFXの取引も、米ドル/円やユーロ/円といった、円をからめた通貨ペアでしたい、という方が多いと思います。
日本円を動かす経済指標としては、前述のGDPや景気動向指数のほかに、日銀短観や消費者物価指数などもあります。
日銀短観は「全国企業短期経済観測調査」というもので、全国の1万社以上の会社に景気の動向や見通しのアンケートを取り、その結果を記したものです。一般的には「業況判断DI」の大企業の製造業の回答が重視されています。これが前回より改善、あるいは市場予想より高かった場合は、景気が回復傾向にあると判断されます。
消費者物価指数は身の回り商品の価格を調べ、上下の割合を示したものです。前回より上昇したならば、インフレ傾向にあることを意味します。逆に、前回よりも下落していると、デフレ傾向にあることを示します。一般的には、インフレは通貨安、デフレは通貨高の要因になりえます。
用語解説:インフレ
インフレーションの略で、お金の価値が下がり、物価が上昇し続けること。反対に、お金の価値が上がり、物価が下落することをデフレ(デフレーション)という。
日銀短観・消費者物価指数を見てみよう
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)
消費者物価指数
水上氏の視点
日銀短観・消費者物価指数の注目度は普段はそれほど高くありませんが、あるとき突然注目されることもあります。気まぐれな指標たちです。
円安に、円高に、激しく動く為替レート
下のグラフは、おおよそ2000年から18年5月までの米ドル/円の為替レートの推移を表したグラフです。
01年9月の米国同時多発テロ事件を契機にドルも円も売られて円安が進んだのち、04年に向けて円高が進行します。
再び円安に向かうものの、07年にはサブプライムローン問題が顕在化し円高へ。さらに アメリカの投資銀行、リーマンブラザーズの破綻(リーマンショック)によって一気に円高が進みました。
日本では12年末に安倍内閣が誕生すると、異次元の金融緩和などによるいわゆるアベノミクスによって円安に向かいました。
さらに16年11月、アメリカ大統領がトランプ氏に決定すると、景気改善を見越してドルが買われ、一時的な円安が発生しました。
為替レートがどうなるか、ぴたりと当てるのはまず不可能です。次にどんなテーマが浮上するのか、そしてそれが為替レートにどんな影響を与えるのか。それを考えながら情報収集の練習をしてみてください。
用語解説:金融緩和
世の中に出回るお金の量を増やすこと。中央銀行が金利を下げたり国債を買い取ったりして行う。2013年・14年、日銀の黒田総裁が大規模な金融緩和を行い、円安が進んだ。
米ドル/円の値動き(2000年~)
水上氏の視点
今の相場のテーマかを考えることは、とても大事なことです。そのテーマをベースに、相場のストーリー(筋書き)を考えてみてください。
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