存在感の大きい1軍選手たち

世界中の投資家が比較的多く取引している通貨をまとめてメジャーカレンシーと呼びます。
 一般的にはアメリカのドル(米ドル)、EU圏のユーロ、日本の円、イギリスのポンド、スイスのフランなどを指します。
これらの通貨は市場規模が比較的大きい(流動性が高い)ため、売買も安定しているといわれています。
世界経済はアメリカを中心に回っています。米ドルは基軸通貨といって、世界中の貿易や取引の基準の役割を果たしています。それだけに、アメリカの動向は誰もが気にしています。
米ドルに次ぐ取引高を誇るのがユーロです。EUの発展とともに成長してきましたが、近年はイギリスのEU離脱により混乱もみられました。イギリスの通貨はポンドですが、両通貨の関係は深く、連れ立って動くこともあります。
日本円やスイスフランは景気の悪化や戦争などで先行きが不透明になると買われる傾向があります。そのため、避難通貨(安全通貨)などと呼ばれることもあります。

用語解説:イギリスのEU離脱 ヨーロッパ28カ国からなるEU(欧州連合)からイギリスが脱退しようとしている問題。2016年6月の国民投票で離脱が決定し、17年3月から手続きがスタート。「ブレグジット」ともいう。

メジャーカレンシーの特徴

EUユーロ(EUR) EU加盟28カ国のうち19カ国と、EU域外の5カ国が使用している統合通貨。米ドルに次ぐ流通量を誇る。ここ数年低迷していたが、近年回復してきた

日本円(JPY) 輸出企業が多く、他通貨(特に米ドル)と連動しやすい。有事の際に買われる傾向がある。1000兆円以上の赤字を抱えている懸念もある

アメリカ(米)ドル(USD) 基軸通貨として世界中で取引されている、流通量No.1の通貨。アメリカの景気がよくなればドル高、悪くなればドル安と、シンプルに動く傾向がある

イギリス(英)ポンド(GBP) かつて基軸通貨だったが、今でも相応の取引量がある。EU離脱による不透明感から値動きの幅が拡大

スイスフラン(CHF) 永世中立国のイメージもあり、値動きが安定。日本円同様有事の際に買われる傾向がある

オーストラリア(豪)ドル(AUD) 鉄鉱石や石油などの輸出が主な産業。それらの価格変動や貿易相手国の中国の影響を受けやすい

カナダドル(CAD) 天然ガスなどの資源が豊富で、資源国通貨の位置づけ。隣国アメリカの経済と連動しがち

水上氏の視点 本当にメジャーなのはドルとユーロ。一方で何かが起きれば、もう一方に資金が移動するという関係になっています。

取引規模の小さな2軍選手たち

メジャーカレンシー以外の通貨はみなマイナーカレンシーと呼ばれています。世界には100以上の通貨がありますので、その大部分がマイナーカレンシーだということになります。
メジャーカレンシーと違って、マイナーカレンシーは一部の国や地域でしか流通しておらず、市場規模も大きくありません。
そのため、FX会社のスプレッドはマイナーカレンシーのほうが高くなる(広くなる)傾向にあります。また、マイナーカレンシーは取引量が少ない(流動性が低い)ため、値動きが激しくなったり売買ができなくなったりすることもあるので、注意が必要です。

用語解説:資源国通貨 鉱物や農産物などを輸出する国の通貨。コモディティ通貨とも いう。資源国通貨の為替レートには、その国が輸出するモノの価格や、それらを輸入する国の景気が影響すると考えられる。

主なマイナーカレンシーの特徴

南アフリカランド(ZAR) 金やダイヤモンドなどの鉱物資源が豊富。高金利通貨の代表格だが政情不安のリスクも高い

トルコリラ(TRY) 高金利が魅力。ただしここ10年間で1リラの価値は約3分の1に。スワップ以上の損失となるリスクも

ニュージーランド(NZ)ドル 農業・酪農が盛んで、影響を受けやすい。オーストラリアに近く、連動した値動きをすることも

メキシコペソ 石油や鉱物の資源国であり、隣国アメリカの影響を受けることも。トランプ大統領の政策を注視

マイナー通貨

水上氏の視点 高金利には、景気がよくてインフレ傾向にある場合と、金利を高くしないと海外からの資金調達ができない場合の2種類があります。見極めましょう。


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