経済指標の発表前後はリスクが高まる
経済指標には、国全体の経済状態を示すものから、ある特定の一分野だけを切り取ったものまで、たくさんあります。いきなりそのすべてを見ても、かえって混乱してしまうでしょう。
ですので、まずはアメリカの経済指標をチェックしましょう。ここまでお話ししてきたとおり、アメリカは世界経済の中心ですし、米ドルは基軸通貨です。その動向は他の通貨ペアの動きにも少なからず影響を与えるからです。
そのうえで、自分が取引したい通貨の国の経済指標を参考にしましょう。ユーロならユーロを使っている国の中で経済規模の大きなドイツやフランス、円ならば日本、ポンドならイギリス…といった具合です。これらを見続けていくと、発表される内容の重要度や、それによる為替レートへの影響の度合いなどがつかめてくるでしょう。
また、経済指標の発表時はリスクが瞬間的に大きくなりがちです。慣れてくるまでは、重要な経済指標の前にポジションを持たないことをおすすめします。
用語解説:(経済指標の)重要度 経済指標が為替レートの変動に影響を与えそうな度合いのこと。FX会社の経済指標発表スケジュールには、この重要度が★印などで示されていることが多い。参考にしてみよう。
経済指標のスケジュールを確認しよう
特に、「予想ではプラスだったのに、結果はマイナス」「予想ではマイナスだったのに、結果はプラス」といったサプライズがあった際に為替レートがどう変動したかを確認してみよう
水上氏の視点 一部のアメリカの経済指標のほかに、最近は各中央銀行の総裁発言にも注目が集まり、反応する傾向があります。
全世界が注目する月に1度の大発表
特に注目すべき経済指標は、世界経済の中心、アメリカの各種データになります。なかでもアメリカの雇用に関するデータ、米国雇用統計は最重要。全世界で注目されているといっても過言ではありません。発表のライブ中継を行うFX会社もあるほどです。
米国雇用統計の発表は原則、毎月第1金曜日です(正確には「前月の12日を含む週の3週間後の金曜日」なので、第1金曜日ではない場合もあります)。日本時間の21時30分(4月〜10月)、22時30分(11月〜3月)に発表されます。
米国雇用統計では、10数種のデータが公表されます。これまでは「非農業部門雇用者数」と「失業率」が注目されてきました。しかし近年、アメリカが完全雇用となってきたため、影響が弱まっています。
これに代わって注目されているのが平均時給です。平均時給が大幅に上昇すると、期待インフレ率(将来の物価上昇率)が上昇します。アメリカの長期金利が上昇するため、目先はドル買い(=円安)が強まる可能性が高いといえます。
用語解説:完全雇用 働く意思と能力がある人が全員仕事に就いている状態。アメリカの場合、リーマンショックが発生した2008年には10%ほどだった失業率は、18年には4%程度まで改善している。
米国雇用統計で発表される指標
●米国雇用統計で発表される主なデータ
●発表時の為替レートの例(米ドル/円)・1分足
水上氏の視点 雇用統計発表後のトレード参加者に投機筋が多く、素直な動きが少なくなっています。しかし、投機筋も意地で高値引け・安値引けにしようとします。
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